今年の「染の小道」の“道のギャラリー”では、紅型のれんがとても多かったことに気付かれましたでしょうか?
中井が誇る紅型工房、おかめ工房の先生、生徒さんが多数参加したこともさることながら、沖縄の金城紅型染工房からものれん8枚のエントリーがありました。
金城盛弘先生のもとで修行を積んで6年半。
中村祥子さんは勢いのある縁起のいいのれんで参加してくださいました。
「染の小道」当日、自作のとてもステキな紅型着物を着て、ご来場くださいました!
のれんのタイトルは「ダルマるま」です。
東中野の醤油メーカー、ハチマサ醤油を営む宇田さん宅の玄関に飾られました。
「朱色を使いたくて、そして表情がコロコロ変わる感じを描きたくて、ダルマを選びました」と中村さん。
「動きがあって、つながりのある構図を狙いました。山あり、谷ありの人生、でも日々の努力が報われて、最後にポンっと花開くような、そんな感じを表現しました」。
白生地に朱と紺が効いており、大きな目玉のダルマに目を奪われます。
下絵はパソコンを使って構図や色など、デザインを検討。
1ヵ月ほどかけて完成させました。
まずは型紙彫りです!
洋型紙に下絵を描いた紙を張り付け、ペンシルタイプのカッターで型紙を彫ります。
色を染めたい部分は型として残しておき、彫った部分に後ほど糊を置きます。
よく見てください!
目玉はツル、頬ひげはカメ、鼻はマツになっています!
おめでたいモチーフ満載のオリジナルダルマです!
型を彫り終えたら、ダルマの目や鼻などのパーツが落ちないように紗と型紙をカシューという塗料で張り合わせておき、カシューをつけた筆を上からたたきつけるように紗張りしていきます。
紗はとても細かい網目状になっています。
この網目を抜けて、糊が布の上に置かれます。
白生地に型紙を固定し、駒べらを使って型糊を型紙の上に置きます。
この糊が乗った部分が白く残すところです。
白生地のまま残すところにも糊を置いていきます。
中村さん、今回は紅型両面染めに初挑戦!
表面が乾いたら、裏にも同じように糊を置いていきます。
表と裏の糊の位置がズレないように、裏面に糊を置くときはガラス板の上で行ないます。
下から光を当てて、布を透かすると、柄が見えやすく、糊置きがしやすくなります。
糊が乗っていない部分に顔料で1度目の色挿しをします。
もちろん両面です。
乾いたら、2度目の色挿し、そして刷り込みをして、色の力強さを出します。
紅型の特徴のひとつともいえる隈取り(ぼかし)を入れます。
つけ筆で濃度の濃い顔料を乗せ、ぼかし筆をくるくると回すようにしてぼかしていきます。
柄に立体感と動きが加わります。
紺色の地色の部分は引染めします。
刷毛に染料をつけ、表を引いたら、裏返し、表と同様に引染めします。
色を生地に定着させるために約100℃で蒸します。
色が定着すると摩擦にも強くなります。
今回は合計40分蒸しました。
蒸し上がったら、水元で水に漬け、型糊がふやけたら、高圧シャワーで糊を洗い流します。
染めた色の出方を初めて目にする、ドキドキの瞬間です!
干して乾かし、ついに完成!
5つのダルマがリズミカル!
踊っているようです!!
「短大時代に福岡に住んだのですが、沖縄のよさに気付き、地元に帰ってモノ作りをしたいと考えました」と中村さん。
「紅型の色のよさに魅せられています」。
実際にのれんが掛かっている様子の感想を尋ねると「家の壁の色とのれんの色使いがうまく合ったのでよかったです」と満足そう。
「福を呼んでくれたらいいな、と思います」。
「染の小道」では、土曜に落合第五小学校の体育館で行なわれたのれん展示のミニトークイベントにも参加してくださいました。
紅型の技法について、具体的に解説してくださり、皆興味深く拝聴しました。
横では師匠の金城さんが弟子の晴れ舞台を激写!
「緊張しましたが、いい経験になりました」と清々しい笑顔。
あたたかく、ハッピーな空気を「染の小道」に運んでくれました。
これからの活躍も楽しみです。
ご参加、本当にありがとうございました!